大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)840 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人宮崎忠義の上告理由第一点について。

しかし、原判決(一審判決引用以下同じ。)挙示の証拠によれば、原判決の認定

した事実を認容することができ、右認定した事実のもとにおいて本件借地契約は一

時使用の目的である旨の判断をした原判決の判断は、当裁判所も、これを正当とし

て是認することができる。

原判決は、所論のごとく、バラック式家屋のみをもつて一時使用の目的と認定し

ているものではない(論旨引用の裁判例は本件に適切でない。)。

所論は、原判決を正解しないことにもとづく議論か、または、原審の適法にした

事実の認定を非難するものであつて、採用しがたい。

同第二点について。

しかし、一時使用のため借地権を設定している場合において、借地権者は借地法

第一〇条に定める建物等買取請求権を有しないことは、当裁判所の判例とするとこ

ろであつて(第三小法廷判決昭和二九年七月二〇日民集八巻七号一四一五頁、第一

小法廷判決昭和三三年一一月二七日民集一二巻一五号三三〇〇頁)、いまなおこれ

を変更する必要はない。したがつて、上告人の建物買取請求権を否定した原判決の

判断は正当である。

所論は独自の見解であつて採用しがたい。

同第三点について。

しかし、被上告人所有の本件土地上に上告人所有の家屋があつて被上告人の土地

所有権が妨害されている以上被上告人がこれによる損害金を上告人に対して請求す

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ることは権利の濫用といえないとする原判決の判断は、当裁判所は正当として、こ

れを是認しうる。

仮処分に対する所論のような事情は、仮処分に対する当否についての主張であつ

て、これをもつて、原告の有する損害賠償請求権の行使を云々するは正当でなく、

所論は採用しがたい。

同第四点について。

所論は、本件土地の地代について地代家賃統制令(昭和二一年九月二八日勅令第

四四三号)の適用のあることを前提とすることろ、本件土地の賃貸借が一時使用の

目的のためのものであることは上告理由第一点において判断したとおりであり、同

令第二三条第二項第一号(なお同号は昭和二五年七月一一日から施行)の規定によ

り右のような一時使用のために賃貸する土地について同令の適用のないことは明ら

かであるから、同令の適用があることを前提とする所論は、失当である。そして、

原判決挙示の証拠によれば、原判決の認定した損害は正当としてこれを是認できる。

所論は、法令を正解しないことにもとづく謬見であるか、または、原審の専権に

属する事実認定を非難するものであつて採用しがたい。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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